「密行主義」のルール、市民の目で改善 刑事施設の視察委見直しへ
久保田一道 堀之内健史 村上友里 前田健汰
名古屋刑務所の刑務官が受刑者に暴行を重ねていた問題を受け、法務省は、刑務所などの運営をチェックする「刑事施設視察委員会」制度の在り方を見直している。塀の中に市民の目を取り入れる狙いで導入され、視察委の意見をもとに運営が改善されたケースがある一方、形骸化も懸念されている。どうしたら実効性を高められるか――。
「真摯(しんし)に(視察委の)意見を受け止めて対応せず、事案の発見に至らなかった」。暴行問題を検証した同省の第三者委員会は6月にまとめた提言書で、名古屋刑務所の視察委への姿勢を批判した。
視察委は2019~22年度に計151件、職員の言動の実情を調査するよう名古屋刑務所に依頼した。20~21年度には「所内での調査には限界がある」とも指摘したが、「不適切な事実は認められない」とされた。
だが、受刑者のけがを端緒に、実際には21年11月以降、刑務官22人が受刑者3人の顔をたたいたり、胸ぐらをつかんだりする暴行や申し出を無視するといった行為が繰り返され、不適切な言動は419件に上っていた。
生かされなかった匿名の手紙
視察委によれば、視察委は2…