学び直しの保障を誰にでも 公立夜間中学が実現するSDGs

有料記事

重政紀元 伊藤繭莉
[PR]

2030 SDGsで変える

 義務教育を終えていなかったり、学び直しが必要だったりする人たちが通う夜間中学の開校が全国に広がっています。質の高い中等教育をすべての人に保障することは、SDGs(持続可能な開発目標)の教育目標の重要な柱です。3校目が設置された千葉県で取材、課題も探りました。

県内3校目の千葉市 生徒の7割は外国籍

 午後5時を過ぎると、年齢や国籍の異なる生徒たちが集まってくる。千葉市が今年4月に開校した市立真砂中かがやき分校。県内で3校目となる夜間中学には、38人が入学した。7割が外国籍で、アフガニスタンが15人と最も多く、中国9人が続く。

 アミリ・モハマンド・ジアさん(18)は自動車関係の仕事に就く父親の後を追い昨年6月にアフガニスタンから来日。イスラム主義勢力タリバンの復権に伴う戦闘で、中学を卒業できなかった。「親からは『勉強に集中しろ』と言われている。早く言葉を覚えたい」

 タリバン政権は女性に小学校から先の教育を認めていない。セタイシュ・マリク・ホセインさん(18)は「医師になる夢を日本でかなえたい」と話す。3年に在籍、来年の高校入試に向けて準備をしている。

専門教員や母国語の活用 手厚い日本語指導

 生徒の多くは日本語の指導が必要なため、専門教員を配置。授業はチームティーチングを基本にしている。基礎コースでは、時には生徒2人に教師1人がつく手厚い体制をとる。

 細かなやりとりでは、15カ…

この記事は有料記事です。残り2070文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2023年12月9日0時0分 投稿
    【視点】

    この記事で書かれていることも大事なSDGsの政策に関わります。しかし、国は遅れていて、むしろ市の方が進んでいるといいます。 これがSDGsをめぐって多くの分野で今起きている現実です。 間もなく行われる「SDGs実施指針」の改訂によってこ

    …続きを読む
多民社会

多民社会

日本はすでに多くの外国ルーツの人たちが暮らす「多民社会」になっています。社会の変化と課題を見つめます。[もっと見る]