第6回普通って何? カテゴライズされない「あのちゃん」という生き方

有料記事解なき今を照らすために

聞き手・吉田純哉
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 生きづらさを抱えるボクだからメディアに出る意味がある――。

 あのちゃんは2023年、テレビで引っ張りだこだった。「不思議ちゃん」と見られがちだが、ギターを弾き歌う姿は力強い。

 音楽活動の源は「復讐(ふくしゅう)心」と言う。学生時代にはいじめられて、自宅に引きこもった。

 「テレビでは、このインタビューみたいにじっくり答えてないから」。記者に1対1で向き合い、「生きる責任」について語った。

     ◇

 ――2023年はテレビで見ない日はありませんでした。華やかな世界で消費されるしんどさはありませんか。

 「テレビは一瞬のやりとりを切り取られる世界。深いことは別に話していないから、消費されている感覚は1ミリもなくて。僕はやりたくないことはやっていない。そこに自分の意志があるかを大事にしているから」

 「この1、2年で周りの環境も変わって、自分を貫く難しさを痛感した日々だったけど、自分に素直に生きることを曲げずにやってきて良かった。敵はめちゃくちゃ多いけど、僕が表現者としてお茶の間に出て行くことに意味があるんだなって思っています」

 ――敵、ですか。独特の声や話し方が注目を集めています。

 「『声も変』とか『普通のしゃべり方してよ』って批判された。誰かになんか迷惑かけたのかな。普通って何? 普通だったらすごいのか、いいのかとも思う。『今までの概念から外れているから受け入れられない』っていう考えの人が一定数いる時点で、全然多様性を認める世界じゃない」

 ――「不思議ちゃん」と見られることもあります。

 「そうカテゴライズしてくる人たちの方が、僕にとって『超不思議ちゃん』。人と人とが100%で分かりあうっていうのは絶対ない気がしちゃう。100%で分かりあえないのはダメなことじゃないって思うし。みんなが同じ考えで、同じ発言しなきゃいけないのって気持ち悪いなと思っています」

 ――一つの何かにくくろうとする社会に違和感があるのですか。

 「違和感がないものに違和感があるというか……。例えば、バラエティー番組で『歯並びは汚い人が好き』って話すと笑われるけど、僕はその違和感が好き。きれいなお花に、ひび割れた花瓶を合わせるとか、そういうのが好き」

 「日常って絶対にきれいじゃないはずなんです。海外に行ったら、貧富の差がすごいのがリアル。日本にも色んな人がいて、僕は違和感のある方が安心する」

 ――一人称も、男女にくくられない「ボク」ですね。

 「もともと女の子っぽいのも、男の子っぽいのもめっちゃ好きだから。小学校時代はお兄ちゃんのお下がりの服しか着てなかった。めっちゃショートカットにして、男の子になりたい時期もあったくらい」

 「女も男もこだわらずに、好きなように『あのちゃん』というジャンルで生きています。僕自身がアーティストなのか、タレントなのか、何でもいいと思っている派。大切にしているものは変わらないから、周りにどう見られても別にいいなあと」

 ――自分らしくいるために、大切にしていることはありますか。

 「どこにいっても、『あのち…

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この記事を書いた人
吉田純哉
オピニオン編集部
専門・関心分野
スポーツ、文化、教育
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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2023年12月31日17時0分 投稿
    【視点】

    真っすぐな思いを、真っすぐに届ける。それって、実はすごく難しいことなのだと思います。照れもある、躊躇もある。周りの嫉妬や嫌悪もある。いまさらそんなこと言ったって……。そんな、あきらめもある。 anoさんのアルバム「猫猫吐吐」に聴き入りまし

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