第1回上司は基本「何とかしろ」、相談すると「で?」 禁じ手を生んだ風土

有料記事「できない」が言えない ダイハツ不正の闇

中村建太 近藤郷平 渡辺七海
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 暮れも押し迫った25日。午後5時10分までの工場勤務を終えた従業員たちが、白い通用門から次々と出てきた。

 残照を受けた、ほの暗い道を足早に去っていく。

 仕事納めには少し早いこの日で、工場の生産ラインは停止。翌日から稼働停止が続く。

 年が明けて仕事始めを迎えても工場が動くことはない。

 車両の認証不正に揺れるダイハツ工業の本社工場(大阪府池田市)。果樹園だったこの地に自動車工場ができたのは1938(昭和13)年のこと。

 以来、ダイハツのものづくりを支えてきた。

 しかし、ダイハツの第三者委員会の調査の結果、生産終了分を含む64車種で174にも及ぶ認証試験での不正が判明。国内三つの完成車工場とともに停止を余儀なくされた。

 「僕らはしっかりやっているだけなのに。信用回復なんて当分無理やろ」

 勤続30年以上という50代の社員は、投げやりに言った。

 「なんとか力業で乗り切った…

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この記事を書いた人
中村建太
経済部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸政策・産業、ものづくり、地方格差