SNSには科学的根拠の乏しい医療情報も含まれています。そんな中で、患者が「安全」につながれる空間はあるのでしょうか。がんになった女性たちのためのSNSコミュニティーを運営する一般社団法人「ピアリング」代表理事の上田暢子さんに聞きました。
――SNSコミュニティー「Peer Ring ピアリング」はどんな空間ですか。
女性のがん、中でも特に患者が多い乳がん、卵巣がん、子宮頸(けい)がん、子宮体がんの患者さん向けに運営しています。会員登録すると、書き込みができるようになります。これまでに1万6千人超の登録がありました。
乳がんは40代、子宮頸がんは30代から患者が増え始めるなど、仕事やライフイベントで多忙な時期と重なります。そんな方たちにも活用してもらっています。
――なぜ立ち上げたのでしょう。
私自身が2015年に乳がんと診断され、治療を受けました。
不安な時に経験者の話を聞きたくても、当時、患者会はリアル開催が基本でした。フルタイムで働き、子育てもしていたので、なかなか行けませんでした。
ツイッター(現X)などのSNSものぞいてみたのですが、科学的根拠のない話も野放し状態になっていました。
SNSは便利ですが、安心安全な場がないと感じて、それならば自分で作ってみたいと、17年にピアリングを立ち上げました。
――安全なコミュニティーにするための工夫は。
病状や治療方針など、医療的な判断を押しつけるようなやりとりはしないルールを設けています。
利用者の方々の書き込みは、専門の研修を受けたピアリングのスタッフが閲覧しており、顧問の医師の協力を得て、ルール違反や科学的根拠のない情報が広がらないよう注意しています。
がん治療を隠している人 まだまだ多く
――どんなやりとりがあるのでしょうか。
生活の質(QOL)を上げる…