道に迷う、集中力低下…CT検査でわからなかった脳損傷「MTBI」
四国地方に住む50代の女性は2017年8月の朝、勤務先へ向かう途中で事故にあった。渋滞で前の車にあわせて減速したところ、後ろから来た軽トラックに追突された。
追突の衝撃で、首や後頭部をヘッドレストにぶつけた。女性は頭痛に加えて頭がぼーっとしていたため、事故処理は駆けつけた夫に任せ、車内で休んでいた。
当時、女性は看護師として働いていた。事故後、勤務先の脳外科と整形外科を受診。脳外科ではCT検査を受けたが、異常は見られず、整形外科では頸椎(けいつい)ねんざと診断された。鎮痛剤を処方され、この日は自宅で安静にした。
事故の翌日。部活に参加する子どもを約30キロ離れたグラウンドに送ろうと、車のハンドルを握った。何年も通い慣れた道だったが、道に迷ってしまった。子どもを降ろしたあとも、帰り道がわからなくなり、カーナビゲーションに入れても戻れなくなり、夫に迎えに来てもらったという。
首や頭の痛みが残っていたが、事故から3日後に職場に復帰。すると上司から「ふらついている」と指摘された。自覚はなく、自分ではまっすぐ歩いているつもりだった。
事故から2年、ついた診断名は
再度、脳外科を受診し、より精密に脳の診断ができるMRIを撮ってほしいとお願いした。だが医師からは「脳出血もないし、撮る必要はない」と言われ、上司からは精神科の受診を勧められた。精神科では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
頭痛に加え、集中力がなくなったり、精神的に不安定になったりした。味覚も鈍ったが、料理を食べた家族から指摘されるまで気付かなかった。
女性は仕事を休職。事故から…
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