「行政手続きに瑕疵はない」 国見町議会の百条委で引地町長

荒海謙一
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 【福島】「企業版ふるさと納税」を原資に、国見町が計画した高規格救急車の研究開発事業が中止になった問題で、町議会の調査特別委員会(百条委員会)は21日、引地真町長ら2人に証人喚問した。引地町長は、町の第三者委員会の検証結果を待つとしながらも、「現時点で事務手続きに瑕疵(かし)はない」との考えを示した。

 事業は、町が民間企業と設置した「官民共創コンソーシアム」の議論がきっかけになったとされ、その事務局を務めていた備蓄食品製造のワンテーブル(宮城県)が受注した。

 議会側は、町が受注先公募の際に示した救急車の規格は、ワンテーブルが製造を発注した救急車メーカーのベルリング(東京)に有利だったとみているが、引地町長は「有利だったという認識はない」。ワンテーブルが町と事業契約を結ぶ前に、ベルリングに発注していたことは「知るよしもない」とした。

 事業の目的は、「災害に弱いという町のイメージをなんとかするため、民間の知恵と資金を活用できないか」と考え、「(関連)産業が根付けば雇用も生まれ、国見の名も高まるという思いがあった」と説明。事業中止は、報道で先行した当時のワンテーブル社長の「行政機能をぶんどる」などの発言を確認できたからだとし、「あの発言は許しがたい」と述べた。

 事業中止に至る責任を問われ、「(町長としての)責任は重い」と認めたが、「再発防止策を構築することも責任だ」とした。

 この日は、官民共創コンソーシアムの事務局を務めたワンテーブル社員にも証人喚問が行われた。「事務局としてコンソーシアムをリードしたようなことはない」と話したが、町職員らとのメールでのやりとりの具体的内容などは「覚えていない」とした。

 百条委は今後、これまでの参考人や証人の発言内容を精査していくが、「食い違いも見られる」として、追加の証人喚問や参考人招致などの必要性を検討する。それによっては、今年度内と見込んでいた報告書のとりまとめは遅れる可能性もあるという。

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