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第9回宮沢喜一日録が記した秘密の再会談 91年総裁選の舞台裏が明らかに

有料記事宮沢喜一日録 戦後政治の軌跡

鶴岡正寛
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 宮沢喜一元首相が選出された1991年の自民党総裁選直前、党内最大派閥・竹下派(経世会)の小沢一郎会長代行の事務所で「面接」を受けた後に、小沢氏とホテルで再び会談していたことが、宮沢氏の政治行動記録(日録)の記述で判明した。この再会談の存在はこれまで知られていなかった。竹下派は翌日に宮沢氏支持を決めており、再会談は当時の「経世会支配」を裏付ける事実とみられる。

 現在は立憲民主党衆院議員の小沢氏は、宮沢氏との再会談について、「記憶にない」と秘書を通じて回答した。

 日録の記述は10月10日付。9日後に告示される総裁選には、この日の時点ですでに宮沢氏(当時72)、渡辺美智雄氏(同68)、三塚博氏(同64)の各派閥会長が立候補を表明。竹下派の支持を受ける人の総裁選出が確実な情勢にあった。

 この日小沢氏は午後3時から7時台にかけ、宮沢氏、三塚氏、渡辺氏の順に3氏と個別に会談した。各会談は一部を報道機関に公開。当時49歳の小沢氏が東京・永田町にある自らの事務所に60~70歳代の他派閥会長を呼んで最大派閥の権力を誇示する場面となり、小沢氏による「面接」「口頭試問」と報じられた。宮沢氏は報道機関の前で「昨日、大幹事長のおひざもとへ行ってきました」と岩手県へ遊説に訪れたことに触れ、自民前幹事長の小沢氏を「大幹事長」と呼んでみせた。97年の対談で、宮沢氏は「無礼なことをされたとは思っていません」「私はちっとも恥ずかしいことをしたと思いません」、小沢氏は「先輩に本当に申し訳なく思っています」と振り返っている。

 同日の日録には、午後3時か…

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連載宮沢喜一日録 戦後政治の軌跡(全32回)

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