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第13回金丸氏捜査方針、逮捕4日前に後藤田法相が報告 宮沢氏の日録で判明

有料記事宮沢喜一日録 戦後政治の軌跡

鶴岡正寛
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 宮沢喜一氏が首相在任中の1993年3月、自民党金丸信・前副総裁を脱税容疑で捜査する方針について、逮捕の4日前から後藤田正晴法相の報告を受けていたことが、宮沢氏の行動記録(日録)の自筆メモで判明した。報告を受けた宮沢氏が、93年度予算案の衆院通過を急ぐよう党側に指示したとみられる記述もあった。

 金丸氏は建設業界などからのヤミ献金を割引金融債購入などに充て、10億円余を脱税したとして93年3月に逮捕・起訴された(公判中の96年に死去)。

 東京地検特捜部が関係先の家宅捜索と逮捕に踏み切ったのは同月6日。当時の報道によると「手元に割引債が残っていて、それを家宅捜索で押収できるかが勝負だった」といい、捜査は極秘裏に進められた。翌日付の朝日新聞朝刊には「寝耳に衝撃」の見出しが躍り、政界に驚きが広がった。

 しかし、当時首相だった宮沢氏には逮捕4日前から、後藤田法相の報告が入り続けていた。

 3月2日付の日録には金丸氏…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年3月7日6時24分 投稿
    【視点】

    関わりました。「宮沢日録」には戦後日本政治を見つめ直すに欠かせない書き込みがありますが、この「金丸逮捕」について、官房長官だった河野洋平氏に尋ねた際にもれた言葉も、一筋縄ではいかない当時の政治状況を映していました。先月にインタビューした際に

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    市田隆
    (朝日新聞記者=調査報道、経済犯罪)
    2024年3月7日22時19分 投稿
    【視点】

    金丸信・前自民党副総裁らが脱税容疑で逮捕された1993年3月6日の4日前、当時首相の宮沢喜一氏が捜査方針の報告を受けていたとは驚きの事実だ。  私は当時、前に勤めていた読売新聞社会部の検察担当記者だった。6日は土曜日、東京地検による夜の逮

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