宇宙への出発点「スペースポート」 日本は適地、アジア需要呼び込む

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玉木祥子
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 人工衛星の打ち上げが急増し、ロケットとともに発射場「スペースポート(宇宙港)」も不足しているため、世界で整備が加速している。

 国内では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター鹿児島県)と内之浦宇宙空間観測所(同)があるが、これらは国の基幹ロケットの打ち上げ専用。民間でも宇宙へのアクセスを可能にしようと、国内各地で検討され、特に北海道、和歌山県大分県沖縄県で整備が進んでいる。

宇宙ベンチャー「スペースワン」は、延期していた小型ロケット「カイロス」初号機を13日午前11時1分に和歌山串本町から打ち上げる予定です。人工衛星を軌道に投入できれば、民間として日本初の成果となります。国内で整備が進むロケットの発射場について解説します。

日本は好条件、宇宙港の整備は街づくり

 宇宙港の条件として重要なのは地理環境。東方向と南北いずれかがひらけている場所が好ましいとされている。

 ロケットを東向きに打ち上げれば、地球の自転を利用して加速することで、ロケットのエネルギーを節約できる。また、地球全体を効率的に観測することを目的として衛星を打ち上げる場合には、南か北に打ち上げる。

 打ち上げる方向に人家がないことも重要だ。そのため、海に囲まれている日本は宇宙港を整備しやすい。

 宇宙港ができると、ロケットや衛星の開発企業だけでなく、関係者が滞在するために必要な宿泊業や飲食業なども集まり、経済効果を呼び込める。

 国内の宇宙港開港を推進する一般社団法人スペースポートジャパンの代表理事で、元JAXA宇宙飛行士山崎直子さんは「発射場を造って終わりではない。まさに街づくり。地元と連携しながら、地域に根ざしたスペースポートにしていくことが大事」と話す。

北海道では40年前から 目標はシリコンバレー

 民間向け宇宙港として国内ですでに「開港」しているのは、北海道大樹町の「北海道スペースポート」だ。

 東と南方向が太平洋に面していて、広大な土地が広がり、「十勝晴れ」と呼ばれる晴天が多い。こういった条件から、大樹町は1980年代から航空宇宙関連実験の誘致に取り組んできた。

 実際にロケットを打ち上げたのがインターステラテクノロジズ(大樹町)だ。2019年に民間としては国内で初めてロケットを宇宙空間に到達させた。新型ロケットの打ち上げに向けて新たな射場を建設中で、24年度の完成をめざす。

 宇宙へのアクセスは、垂直に打ち上げるロケットだけではない。飛行機のように水平方向に離着陸して宇宙と地球を行き来する、翼のある宇宙機「スペースプレーン」の開発に取り組む企業もあり、敷地内に3千メートルの滑走路も整備する予定。「垂直型」も「水平型」もどちらにも対応できる宇宙港をめざす。

 町と道内6社などが出資する運営会社スペースコタンによると、現在、台湾企業など国内外10社ほどから射場使用の問い合わせがきているという。

 射場を持たないアジアの国々にとって、比較的近い日本に宇宙港があることは大きなメリットになる。

 大樹町は「北海道に、宇宙版…

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    藤井涼
    (UchuBiz編集長)
    2024年3月8日21時53分 投稿
    【視点】

    去年の秋に「北海道スペースポート」を取材し、射場も見学しました。種子島宇宙センターなどと比べると、かなり簡易的な施設で驚きましたが、同時に小型ロケットの打ち上げには、そこまで大掛かりな設備は必要ないのだなと現地で感じたのを覚えています。また

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