保育士の新配置基準、公立保育園3割が実施見通せず 民間の全国調査

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伊藤舞虹
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 保育士1人がみる4~5歳児の数を30人から25人に見直した新たな配置基準について、民間団体が全国の自治体に調査した結果、公立保育園の3割で実施の見通しが立っていないことが3日、分かった。

 基準の見直しは政府が掲げる「異次元の少子化対策」に伴い、1948年の制定以来76年ぶりに見直され、今年4月から実施された。この調査で、地域間で保育の質に格差が生じる実態が明らかになった形だ。

 調査は24都道府県の保育士らでつくる「子どもたちにもう1人保育士を!全国実行委員会」と保護者たちが4月、全国の1741市区町村を対象に実施。417市区町村から回答を得た。実行委が6月3日に会見し、結果を明らかにした。

 実行委によると、新基準の実施予定の設問では、すでに実施、あるいは4月に実施した公立保育園は6割弱の1647園(251自治体)、25~30年度に実施するのは396園(43自治体)だったが、約3割の884園(65自治体)では「実施時期未定」「検討中」など時期を明確にしなかった。

 改善に向けた課題(複数回答)として、職員の採用に関する回答は6割超、また職員の離職に関する回答も4割超で、職員の確保に悩む自治体の姿が浮き彫りとなった。新基準の実施は特に政令指定市など規模の大きい都市部で進んでいない傾向があるという。

 会見した実行委の担当者は「(人材確保の)対策として処遇改善などが考えられるが、国は背景を調べて有効な手立てを講じてほしい」と訴えている。

国の新基準を上回る自治体も

 新基準の実施時期を巡り、保…

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この記事を書いた人
伊藤舞虹
名古屋報道センター|労働福祉・SDGs担当
専門・関心分野
子どもの福祉、社会保障、ジェンダー