第3回剣道の全国優勝監督「体調不良を言いやすい信頼関係を」 熱中症対策

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編集委員・中小路徹
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 ふと気づくと、病院で点滴を受けていた。

 茨城県立守谷高女子剣道部の安田拓朗監督(39)がそんな経験をしたのは20年余り前。宮崎・都城工高3年の時だった。

 7月、玉竜旗高校剣道大会に向けて練習をしていた時、倒れた。もうろうとした意識の中、剣道場でアイシングを受け、顧問の先生が車で病院に搬送してくれた。

 診断の結果は、熱中症。胃腸炎も併発していた。

 「自分が気づかない体調の悪さに加えて、炎天下の気候と室内に湿気がこもる環境で熱中症になってしまった」

 当時、30分おきに、面をかぶった状態でも水分をストローでとれる状況は用意されていた。それでも、熱中症は防げなかった。

 「自分はキャプテンで大将でした。やらなければいけない、という責任感から、自分の体調の悪さに気づけなかったのは反省点です」

 幸い、当日夜に帰宅できた。ただ、1週間は食欲がなく、だるさも続き、自宅で療養した。回復してから数日、練習をして玉竜旗に臨んだが、ふだんの動きはできず、早々と敗退。悔いが残る結果だった。

 「今思えば、体調はどこかおかしかった。でも、大会に向かう気持ちと責任感から、18歳の高校生としては冷静な判断ができなかったのだと思います」

 スポーツでの熱中症のリスクは、屋内競技にもある。特に、防具をつけ、面をかぶる剣道は、体温が上がり、熱中症になりやすい。

 日本スポーツ振興センターの…

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この記事を書いた人
中小路徹
編集委員|スポーツと社会
専門・関心分野
スポーツと社会、サッカー、朝鮮半島
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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年6月13日6時30分 投稿
    【視点】

    「体調について、言いやすい信頼関係をつくることが一番」。安田監督のこの一言がすべてなのだと思います。どんなに水分補給に心を砕いても、どんなに温度管理に心を砕いても、この信頼関係がなければ、熱中症をはじめとするトラブルや事件事故を防ぎきること

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