もはやキワモノではない? EUに懐疑的な右翼が躍進、どうなる欧州

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ブリュッセル=牛尾梓 パリ=宋光祐 杉山正 ベルリン=寺西和男
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 欧州連合(EU)に懐疑的な右翼や右派の躍進が確実となった欧州議会選。EU内で指導力を発揮してきたマクロン仏大統領は国内での与党大敗を受け、下院の解散に踏み切った。民主主義の理想を追い求めてきたEUは、どこへ向かうのか。

 「今夜のメッセージは、(EU本部がある)ブリュッセルの指導者に向けられたものだ。この偉大な愛国運動は、世界中で起きている国家への回帰に従ったものだ」。欧州議会選の開票が始まった9日夜、フランスの右翼政党「国民連合(RN)」のルペン前党首は、事実上の勝利宣言をした。

 今回の結果の背景には、右翼、右派政党が、ルペン氏の言う「ブリュッセル」への市民の不満の受け皿になったことがある。

 2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻で、欧州では食料やエネルギー価格が上昇。住宅価格の高騰なども追い打ちをかけ、市民生活を圧迫した。

 また、移民・難民の流入規模は、約10年前の「欧州難民危機」に並ぶ水準にまで達しており、各国の右翼政党などは「自国民を優先すべきだ」などと市民に訴えた。

 EUが打ち出す先進的な環境…

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この記事を書いた人
牛尾梓
欧州総局|欧州連合(EU)担当
専門・関心分野
国際政治、データジャーナリズム、AI、OSINT
宋光祐
パリ支局長
専門・関心分野
人権、多様性、格差、平和、外交