抜本改革見送り、抜け道だらけ 改正政治資金規正法に残る七つの課題
岸田文雄首相が掲げ、推し進めた改正政治資金規正法が19日午前、成立した。昨年、前代未聞の自民党派閥の裏金事件が発覚。「裏金国会」さながらに議論が進んだが、企業・団体献金の禁止などの抜本改革は見送られ、法の「抜け道」や検討事項の多さも際立つ。積み残された課題を整理した。
【1】罰則強化 「連座制」とは異なり実効性に疑問
裏金作りに関与した議員が一様に「秘書に任せていて知らなかった」と責任逃れに終始し、世論の厳しい批判を招いたことから、議員も一定の責任を負う形で制度が改正される。
新たな仕組みでは、政治資金収支報告書の提出時に、政治家による「確認書」の交付を義務付ける。報告書作成を会計責任者(秘書)任せにさせないためで、不記載や虚偽記載が発覚した際、確認を怠っていたと判断されれば公民権停止・失職の対象となる。
改正法の付則には、所属議員に規正法違反があった場合に政党交付金を停止する仕組みを創設するため、「必要な措置が講ぜられるものとする」との内容も盛り込んだ。制度創設は公明や国民民主が要求していた。
だが国会審議では、野党が「会計責任者がうそをついたことにすれば政治家は逃げられる」(立憲の柚木道義衆院議員)と指摘。自民も「おとり、寝返り行為のように、会計責任者があえて虚偽の説明をしたり、確認を妨げたりした場合」であれば、議員は処罰の対象外との見解を示した。確認書で何をどこまで確認するかもあいまいなままだ。
議員の確認が不十分であることが条件となるため、犯罪行為への関与がなくても議員が当選無効となる公職選挙法の「連座制」とは実態が異なる。議員の処罰は会計責任者の有罪確定が前提だが、そもそも今回の裏金事件で会計責任者が立件された議員は4人にとどまっており、実効性に疑問符が付いている。
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