学費支援で過熱する受験競争「東京に住む限り中学受験」迫られる葛藤
大手塾が軒を連ねる御茶ノ水駅付近。夕方になると、小学生の手を引く母親の姿が目立ち、通り沿いには送迎の車が続々と止まった。
中学受験を予定している息子を塾に送り届けた女性は「教育熱心というわけではない。もはや、やらざるを得ないので」。区内の同級生の多くが中学受験をする。結果として、公立中のレベルが下がる恐れがあると感じるからだという。「公立の中学校に子どもを入れたいと思えない。受験するしかない」
息子が入った塾を見つめてそうつぶやくと、親子連れの人波を縫うように立ち去っていった。
「ここに住んでいる限り、中学受験だろうな」
東京23区で暮らす40代女性がそんな思いを抱くようになったのは、長男が幼稚園に通い始めた頃。ママ友との会話では、よく幼児教育や幼児向け学習塾の話題が飛び交っていた。東京での子育てって、こんな感じなのか――。自身の経験とのギャップに啞然(あぜん)とした。
記事の最後に、公立学校の環境改善について、都知事選の主な候補者に聞いたアンケート結果を掲載しています。
足を踏み入れた「異様な、恐ろしい世界」
8年前に購入した戸建てで、会社員の夫と小学生の息子2人と暮らす。小学4年の長男は今年、中学受験のために塾に通い出した。後押しした要因の一つは、東京都による私立学校に通う生徒の世帯への手厚い支援政策だった。
都は私立中に通う生徒1人あ…
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