第3回9条と自衛隊、内包する矛盾 「ガラス細工」の憲法解釈重ねた70年
編集委員・藤田直央
自衛隊ができて70年。敗戦後に9条で「戦力不保持」を掲げた新憲法との整合性は、ガラス細工のような政府解釈の積み重ねで保たれてきた。歴代の首相答弁をたどると、そのタガが外れつつある現在の姿が見えてくる。
「考え方をお変えになったのか」。1954年5月の衆院内閣委員会。自衛隊を設ける法案の審議で、首相の吉田茂に右派社会党の鈴木義男が詰めた。
吉田は46年に新憲法案を審議する場で、「世界の平和確立に貢献する決意をまずこの憲法で表明したい」として、「9条で自衛権の発動としての戦争も放棄した」と述べていた。
なのになぜ自衛隊をつくるのか、という鈴木は問うたのだった。
これに対し、吉田はかつての自らの答弁を「自衛の名において戦力は持たないということ」と釈明する。そして、「戦力に至らざる力を持つことは国として当然」と語った。
「戦力不保持」を明記した憲法9条のもとで、自衛隊は生まれました。政府は、その矛盾をどのように説明してきたのか。歴代の首相の言葉からたどります。
敗戦で日本は武装解除された…