第4回自衛隊の転機となった「集団的自衛権」 安倍政権が外した憲法のタガ
編集委員・藤田直央
誕生から70年が経った自衛隊。そのありようを象徴する「専守防衛」は、2010年代から大きく変貌(へんぼう)することになる。
専守防衛を形骸化させた戦後防衛政策の転換が、2014年7月の安倍晋三内閣での閣議決定だ。密接な関係にある他国への攻撃に対処する「集団的自衛権」の行使について、憲法解釈を転換したのだ。
その論理は、1972年の政府見解を逆手に取るという強引なものだった。
必要最小限とされていた自衛権
同年9月の参院決算委員会。政府は社会党の水口宏三に問われ、集団的自衛権が憲法上「行使できない」理由を説明し、翌月に政府見解として文書で示した。
この時の政府見解はこうだ。
自衛権は、国民の基本的人権を国政は最大限尊重すべきだという憲法13条を根拠としつつ、憲法前文や9条の平和主義から制限がある。
だから、攻撃によって国民の基本的人権が根底から覆される「急迫、不正の事態に対処」するための必要最小限とする。
その上で、自衛権の行使は「日本が攻撃された場合に限られる」という論理を導き出したものだった。
ところが安倍内閣は、この論理を飛躍させた。
主眼は台湾有事 繰り返された「強弁」
つまり、そうした日本の存立…