採用、昇進、福利厚生に潜む男女の「間接差別」 企業の「常識」問う

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編集委員・沢路毅彦 高橋諒子
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 表面的には性別に関係がない規定でも、運用してみるとどちらかの性に不利益になる――。「間接差別」と呼ばれる考え方を初めて認めた判決が東京地裁で出ました。企業の「常識」や「慣行」にノーを突きつける概念は、どのように発展してきたのでしょうか。

 職場などでの男女差別には「直接差別」と「間接差別」に分けられる。直接差別は明確に性別で区別した取り扱いで、採用対象から女性を外す、女性にだけ自宅通勤という採用条件を課すといったケースが該当する。

 一方で間接差別は、例えば採用条件を「身長170センチ以上」とした場合、表向きは中立的な規定だ。しかし実際は、平均身長が男性より低い女性は採用されにくくなる。そこに合理的な必要性がなければ間接差別にあたる。

米国で生まれた概念、英国で法律に

 雇用平等法制を研究する相澤…

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    澤路毅彦
    (朝日新聞編集委員=労働)
    2024年7月30日18時21分 投稿
    【視点】

     5月の判決の記事を読んだ読者から、「具体的にどんなことが間接差別になるのか知りたい」という反応が複数ありました。確かにそうだな、と思い、関係する論文や調査を確認したり、相澤教授に話を聞いたりしました。  日本より先行するイギリスでは、裁判

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