山口・上関町の中間貯蔵施設計画、どう進むの? 立地可能性を調査中
詳しく知りたい〈5〉
中国電力は山口県上関町で中間貯蔵施設の建設を検討しています。計画はどう進められるのでしょうか? ボーリング調査などで建設可能との結果が出た場合、町が受け入れるかどうか判断することになります。一問一答形式で詳しく解説します。
【連載】核燃料のゆくえ
原発で使い終わった核燃料をどうするのか。中国電力と関西電力による中間貯蔵施設計画の動きや、使用済み核燃料の現状を連載で報告します。
Q 原発の使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設。中国電力が山口県上関町で検討しているけれど、今後どう進むの。
A 中国電力によると、まずは文献調査と地表の地質踏査、ボーリング調査をする。中国電力は古文書や記録などから、どのような自然災害が起きたのかを調べる文献調査を始めた。活断層の有無などを調べるボーリング調査は2024年4月に開始。半年ほどかけて、11カ所で100~300メートルの深さまで掘る予定だ。
Q 建設は確定なの?
A 中国電力によると、建てると決めているわけではない。地盤や安全性に問題がないかを調べる立地可能性調査の段階なんだ。この調査がいつまでかかるのかは、はっきりしていない。24年4月の会見で、北野立夫副社長は「現時点では未定」と答えている。
Q 問題なしとの調査結果が出たら、町の対応は?
A 建設を受け入れるか判断することになる。西哲夫町長は23年12月の議会で、町が調査結果を受けて「すぐに(結論を)出すのは無理だと思う」とし、判断のための期間は「半年とか1年」かかると述べた。
Q 地元の同意が必要なの?
A 原子力規制庁によると、原子炉等規制法には、中間貯蔵施設の建設に町や県の同意を必要とする規定はない。ただ、実際には同意なく建設するのは困難とみられる。村岡嗣政知事は同意するかどうかの判断には、「安全の確保」「周辺自治体の理解」が重要な観点になるとしている。
Q 上関町の中間貯蔵施設計画は、関西電力と共同で進めるんだよね。
A そうだね。関西電力では3~5年すると、使用済み核燃料を冷やしておくプールが満杯になる見通しだ。関電の原発がある福井県が、県外に中間貯蔵施設を造るよう関電に要請してきた経緯もある。
Q 原発を抱えるほかの電力会社の状況は?
A 電力各社でつくる電気事業連合会によると、各原発にある使用済み核燃料のウラン重量は23年12月時点で約1.6万トン。各原発のプールなどの保管容量は約2.1万トンだから、容量の約77%にのぼる。電力会社は保管容量を増やすために、プールに入れる核燃料の間隔を詰めるなどして対応してきた。
Q さらなる対策も考えているの?
A 中間貯蔵施設のように、金属製容器(キャスク)に入れた使用済み核燃料を保管する乾式貯蔵施設を、原発敷地内に造る計画も進む。すでに日本原子力発電東海第二原発(茨城県)にあるが、中部電力浜岡原発(静岡県)や四国電力伊方原発(愛媛県)、九州電力玄海原発(佐賀県)でも建設に向けた手続きに入った。