神奈川の公立中学校、給食利用は6割強 文科省調査の9割実施と乖離
神奈川県内の公立中学校で、給食を利用している生徒の割合は最大で63・7%にとどまることが、朝日新聞の調査でわかった。文部科学省の調査では、県内の中学校給食の実施率はこの10年間で急上昇し、生徒数ベースで9割を超えているが、実際に利用している生徒数とは隔たりがあることが浮き彫りになった。
文科省が実施している「学校給食に関する実態調査」によると、公立中学校で主食とおかずがある「完全給食」を実施している割合(生徒数ベース)は、神奈川県は2013年5月時点で18・0%で全国最下位だった。
しかし、21年から生徒が多い横浜市で「デリバリー方式」の給食が始まったこともあり、最新の23年5月時点の調査では92・5%と、全国平均(97.8%)に近づきつつある。県内の公立中学の生徒約19万8千人のうち、約18万3千人に提供されている計算だ。
一方、朝日新聞が今年6月、県内33市町村に公立中学校の給食の実施状況を独自に調査したところ、「完全給食」を実施していたのは28市町村だった。
残る2市3町のうち、平塚、茅ケ崎、真鶴、湯河原の2市2町は牛乳のみを提供する「ミルク給食」で、給食を提供していないのは大磯町だけだった。
横浜市などは「選択制」、利用率にも差
ただ、調査で給食の提供方法を尋ねると、「完全給食」の中でも横浜、鎌倉、藤沢、伊勢原、座間の5市と、相模原市の一部で、生徒が食べるかどうかを選ぶ「選択制」が導入されていた。
そこで、選択制の市に23年度の平均利用率をたずね、実際に給食を利用している生徒の割合を算出した。
選択制の給食の利用率は鎌倉市の81.0%から座間市の29.3%まで幅があり、選択制と全員制が混在する相模原市で全員が給食を利用していると仮定しても、県内の公立中学の生徒約19万8千人のうち、利用しているのは約12万6千人(63・7%)にとどまった。
残る7万人あまりは、家庭のお弁当を持参したり、購買を利用したりしていることになる。
文科省もこうした状況を踏まえ、今年6月に最新の学校給食に関する実態調査を公表した際に、「給食実施校でも(全国の小中学校と特別支援学校を合わせて)約28万5千人が給食の提供を受けていない」「一部の自治体で、中学校を中心に選択制を実施しているため」と指摘している。担当者は取材に、「中学校で、後から給食を始めた政令指定市などに選択制が多い印象だ」と話す。
なお、横浜市は26年度から、相模原市も26年12月までの全員制への移行をめざしている。
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