あふれるがれきで義足を ガザの通信員が見た「世界に届かない現実」

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

ハンユニス=ムハンマド・マンスール 構成=高久潤 エルサレム=高久潤
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 イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザでは、人口約220万人の2%に相当する4万人以上が死亡し、9万人を超える人が負傷した。爆撃で手足を失った人たちの姿がめずらしくなくなった。そんなガザで、負傷した人たちを支える「ささやかな」試みが始まっている。現地のムハンマド・マンスール朝日新聞通信員が報告する。

 何もかも失ったガザに、大量にあふれているものがある。爆撃や砲撃で街が破壊された後に残る、がれきだ。

 サラハ・サルミさん(36)とムハンマドさん(25)の兄弟は、辺りに転がる木材の破片やプラスチック製の下水管を使って、イスラエル軍の攻撃で体の一部を失った人々のために、義足をつくるプロジェクトを始めた。

拷問の中で見た苦しみ 「心支える足つくりたい」

 手ごろな形の木片を、伸縮性のある布にくるんで詰める。継ぎ目などは、先がラッパ状に広がった下水管の形も利用して、固定する。細かな調整は、火をおこしてプラスチック部分をあぶることで行う。

 思いついたのは、サラハさん…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年8月22日21時15分 投稿
    【視点】

    イスラエル向けの武器弾薬の7割がアメリカからのものだ。そのアメリカでは今、民主党の全国大会が開催されており、明日の最終日、ハリスが民主党の大統領候補の指名受諾演説を行う。大統領経験者など豪華登壇者、セレブリティが集結した党大会の様子と、マン

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  • commentatorHeader
    遠藤謙
    (エンジニア)
    2024年8月22日22時39分 投稿
    【視点】

    義足は通常、先進国で保険適用ありきの値段設定でメーカーが製品を量産しているため、安くても十数万円ほどかかるため、途上国や紛争地域では手に入れることが難しい。一方で国際赤十字が使用しているプラスチック製の安価な義足セットもあるが、ガザのような

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