保険料抑える「デメ逃れ」、大口契約で横行か 一般契約者にしわ寄せ

有料記事追跡・保険業界

柴田秀並

自動車保険業界の悪しき慣行(上)

 損保各社は2026年まで、3年連続で自動車保険を値上げする。コロナ禍後の交通量の増加や修理費の高騰が理由だとする。ただ値上げの前に、見直すべきことはないか。自動車保険が抱える課題を3回にわたって検証する。

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 近年、大口の自動車保険の保険料を本来よりも安く抑える「抜け道」がひそかに横行しているという。「デメ逃れ」。業界の隠語でこう呼ばれている。

 関西のある保険代理店は、運送会社に自動車保険を販売していた。契約はトラック約40台だ。

 一般の自動車保険には、事故率に応じて保険料が異なる「等級制度」がある。ただ、契約台数が10台以上の場合、等級ではなく、「フリート」という契約に移る。車両ごとではなく、契約者単位で1本にまとめるため、フリートの方が割引率が大きい。だが、事故を多発させるなどした場合、逆に一般よりも割り増しになるケースもある。これは「デメリットフリート」と呼ばれる。

 関西の代理店が保険契約を結んだ運送会社は、事故が多かった。このため、次の契約更改で、10%弱の割引から20%以上割り増しとなる予定だった。

 だが突然、この運送会社は別の代理店に移ってしまった。契約を失った代理店の社長が調べると、巧妙な手法で顧客を奪いとられていた。それが「デメリットフリート逃れ(デメ逃れ)」だ。

 本来、フリート契約の事故率…

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