真鍋大度展 電子化される身体と音響の批評性 メディアアートに一撃
編集委員・大西若人
メディアアートは登場当初から、新技術で何ができるのかを見せるような試みや、特徴の一つである双方向性を生かしたエンターテインメントに傾きがちで、アートならではの表現、批評性が薄めになる可能性があった。その中にあって、クリエーター集団ライゾマティクスを率いるアーティストの真鍋大度(だいと)(48)による今展は、瞠目(どうもく)に値する。
JR大阪駅の北側に生まれた新施設の設計監修は安藤忠雄。硬質な展示空間の大半が地下に広がる。その空間に触発されたという新作4点はいずれも、真鍋が開発に関わった、新しい3D音響ソフトウェアなるものを使っている。
最初の展示室に入ると、鑑賞者の姿がシルエットとなって壁に浮かぶ(写真上)。人々の位置や空間の特性を解析し、新ソフトでリアルタイムで音響が生成されるという。その完成度を味わうと同時に、自身の存在が瞬時に捕捉された感覚になり、位置情報や個人情報が他者から見られかねない現代の社会も思う。
続く第2、3室でも、鑑賞者…
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