AIで最適ルート、デマンドバス導入拡充 松江市内で試験運行開始

堀田浩一
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 【島根】時刻表や決まったルートがなく、利用者の予約状況に応じて人工知能(AI)が最適な走行ルートを判断する「AIデマンドバス」の試験運行が1日、松江市の宍道、八雲・忌部地区で始まった。運行する市が1年間、利用状況を検証し、本格導入を目指す。

 バスの名称は「まつえのるーと」。両地区でそれぞれ運行していたコミュニティーバスに代わる新たな公共交通手段として導入。使用する車は、8人乗りのワンボックスカー。山間地が多い八雲・忌部地区では小回りのきく定員4人の普通車も用意した。

 利用者は、電話かスマートフォンアプリで、乗りたい日時や乗り場、行き先などを予約する仕組みだ。

 運賃は大人200円、小学生から高校生まで100円。乗り場は宍道地区で274カ所、八雲・忌部地区で293カ所設けた。

 ただ、定時・定路線のバスに乗り慣れてきた住民たちは戸惑いを隠さない。

 9月下旬、八雲地区の八雲公民館であった運行説明会。集まった約10人の高齢者たちは、市職員から予約の仕方や乗り方について教わったものの、原則前日までに予約する必要があったり、乗り場の番号を伝える必要があったりと利用方法がつかめない様子だった。

 参加した85歳の女性は「電話予約は何とかできそうだが、実際に利用してみないと便利なのかどうか分からない」と話した。

 市は路線バスが走らない交通空白地域を補完する交通手段として、AIデマンドバスの活用に力を入れており、すでに昨年4月に八束地区、今年4月に大野・秋鹿地区で導入している。八束地区では昨年度の利用者は6507人と、定時定路線だった前年度(4025人)に比べ、約1.6倍に増えた。

 その一方、タクシーの利用者は減り、地域のタクシー会社の経営に影響が出ている。市は「タクシー事業者と意見交換しながら、役割分担できる仕組みを考えていきたい」(交通政策課)としている。

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