マングース根絶の軌跡たどる 奄美で企画展 バスターズのお話会も
鹿児島県奄美大島に定着した特定外来生物マングースの根絶宣言を受けた記念企画展が、環境省奄美野生生物保護センター(大和村)で始まった。9月23日には、マングース捕獲を担った専門集団「奄美マングースバスターズ」の後藤義仁さん(49)の講話があり、「島の自然を元の姿に戻すことがモチベーションだった」と語った。
企画展「バスターズが実現したマングース根絶までの道のり」は環境省と関係自治体でつくる奄美自然体験活動推進協議会が主催。マングースの持ち込みから根絶宣言までを年表で紹介し、バスターズが捕獲作業中に撮影した希少動物や森の風景などの写真、使用したわな類などが並んでいる。ぼろぼろの装備や多くの作業中の写真が、いったん定着した外来種を根絶することの困難さを物語っている。12月15日まで。
後藤さんは講話で、山の奥深くにまで足を運んだことや、在来種の混獲を防ぐためのわなの改良、山中でのハブとの遭遇、探索犬の導入などの経緯や苦労話を紹介した。「奄美の自然をよみがえらせる熱意を持つ生き物好きのメンバーが集まり、チームで問題解決できた。年ごとに在来種の姿が増えていることが励みにもなった。これからも奄美の自然を見守り続けたい」と振り返った。
参加した名瀬小5年の中野世一さん(11)は、「バスターズは自分たちでわなを考え、自分の足で遠くまでわなを設置して、すごいと思った。人間が勝手に持ち込み勝手に駆除しているので、ペットや買った生き物を逃がしてはだめだなあと思った」と話した。
マングースは、島内のハブ対策で1970年代に持ち込まれ繁殖。アマミノクロウサギなど在来の希少動物などを襲っていることが分かり、2000年から本格的な駆除が始まった。推定生息数は00年のピーク時で1万匹に達したが、18年4月を最後に捕獲ゼロが続いていた。捕獲数は累計で3万2千匹余に達し、9月3日に根絶が宣言された。