小型バス、ふるさと納税返礼品に 寄付額は1台1300万円 川崎市

佐藤英法
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 【神奈川】ふるさと納税制度による市税の減収に悩む川崎市が、返礼品として実際に運行していた小型バスを提供する。寄付を受け付けるポータルサイトの種類も増やし、てこ入れを図る。

 ふるさと納税制度で市民が他の自治体に寄付したことによる市税の減収額は年々増加している。2023年度の決算では123億円と過去最大で、16年度と比べ約10倍に増えた一方、ふるさと納税の寄付受け入れ額は16億円にとどまった。

 人気の返礼品は肉や海産物といった1次産品だが、工業都市・川崎で充実させるのは難しい。そこで、庁内にも魅力的な返礼品がないか探した。交通局が目をつけたのが、路線バスとして運行していた小型バス。市のマークは外すものの、塗装色は「現役」当時のままという。寄付額は1台1300万円で、2台を用意した。車両年式は11年度で、走行距離は9万1500キロと10万800キロ。運転手1人を含め36人が乗車できる。座席数は12席。大型自動車第1種免許が必要で、旅客を運ぶ場合は同2種免許が要件になる。

 ほかにも、このバスとは別の路線バスに付いていた「行き先表示器」(LED方向幕)1セット(寄付額70万円)、降車ボタンやハンドル、メーター、ミラーなど廃車部品のセット(同1万4千円)を10セット、バス停の標識(同1万円)10個を返礼品にした。いずれも全国のバス愛好家の注目を集めそうだ。市交通局は「市バスに興味を持ってもらえれば」。

 また、市病院局は市立井田病院(同市中原区)で行う人間ドックなどを返礼品にする。日帰り(寄付額16万7千円~)や宿泊コース、体の部位別の「そこだけドック」、PET―CT検査(同35万2千円、市立川崎病院で検査)など。市財政局は「庁内を見渡せば、いろいろな資源がある」と改めて気づいたという。

 寄付を申し込むポータルサイトも今年7月までに新たに八つのサイトを加え、11種類に拡充した。

 いずれの返礼品も10月上旬から順次サイトにアップされる。制度上、川崎市民が寄付しても返礼品は受け取れない。

 川崎市は、自治体間の返礼品競争を批判し「本来のふるさと納税の趣旨に沿った形の制度改正が望まれる」と主張してきた。

 一方で、税収の流出が止まらない現状について福田紀彦市長は4月の会見で「市政への影響は避けられない深刻な状況になっている」と述べ「競争に本格的に参入し、しっかり稼いでいこうということです」と語っていた。

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