高野山「壇上伽藍」の金堂、根本大塔など11棟、国指定重要文化財に
和歌山県高野町高野山の「壇上伽藍(がらん)」にある金堂、根本大塔など11棟の建物が、国の重要文化財に指定される見通しとなった。国の文化審議会が18日、阿部俊子文部科学相に答申した。
金堂は金剛峯寺の主要な行事の舞台となる「一山の総本堂」とされる。9世紀半ばに創建されて以来、焼失と再建を繰り返し、現在の建物は1932年に再建された。建築面積850平方メートルと大規模な仏堂で、主体構造は鉄骨鉄筋コンクリート造ながら、周囲を木材で覆い木造のように見せて造られている。町教育委員会では「意匠は伝統形式にのっとりながらも、耐震・耐火性を考慮して当時最新の技術で建てられた先駆的な建造物として価値が高い」としている。
根本大塔は建築面積526平方メートル、高さ48メートルの巨大な「多宝塔」で、1937年に再建された。主体構造はやはり鉄骨鉄筋コンクリート造で、木材を貼りつけている。「礎石の実測や文献に基づく考察により、9世紀半ばの創建時の大塔の再現をめざした先駆的な復元建物」とされ、「金堂をさらに洗練させた高い技術力が認められる」という。
御影(みえ)堂は、もとは弘法大師空海が日ごろ礼拝をする持仏堂として建てられ、のちに空海の御影像をまつる仏堂となった。現在の建物は江戸時代末期の1848年に再建された。檜皮(ひわだ)ぶきで、四周に縁側を巡らせ、深い軒を持つ。落ちついたたたずまいが際立ち、「高野山のみならず、真言宗の建築を語る上で欠くことのできない重要な建物」という。
ほかに、いずれも壇上伽藍を構成する西塔、山王院拝殿、山王院鐘楼、准胝(じゅんてい)堂、宝蔵、大会堂、愛染(あいぜん)堂、三昧(さんまい)堂が重文に指定される見込みとなった。
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