「超高齢化」する韓国社会の葛藤 世代超えて抱く「剝奪感」を考える
世界的にも異例の速さで高齢化が進む韓国。2026年までに65歳以上が総人口に占める割合を示す高齢化率が21%を超える「超高齢社会」となり、40年代には、現状で世界一の高齢国である日本を上回る見通しだ。平均寿命の延びなどが背景にある一方、貧困や孤独に苦しむ高齢者が少なくない。また急速な変化に若い世代は不安を抱え、社会的な葛藤の一因ともなっている。そうした現状や背景を、韓国・仁荷(インハ)大招聘(しょうへい)教授の黄淳燦(ファンスンチャン)さん(54)に聞いた。
【連載】電車に荷物背負った高齢者、そのとき乗客は 「儒教の国」韓国の変化
韓国で高齢化が急速に進んでいます。そのペースは日本をも上回る速さです。「超少子化」も続く隣国はどこへ向かうのか。現場から報告します。
「長生き社会」となった韓国だが、誰もが幸せな老後を送っている、とは言いがたい。貧困や孤独に苦しむお年寄りが少なくなく、自殺率の高さも目立つ。なぜそうなったのか。ソウル市自殺予防センター長も務めた黄淳燦さんを訪ねたのはそんな疑問からだった。
「本人も、国家も、家族も、老後への準備が出来なかった。現在の高齢者たちは、こうした世代なんです」。黄さんはそう話す。
その発展のスピードから「圧縮成長」とも呼ばれる経済成長を遂げた韓国。サムスンやLGといった韓国ブランドが世界各地に浸透し、Kポップや映画などの韓国カルチャーも国境を越えて人気だ。
だが、大企業主導の成長が優…
- 【視点】
韓国は高齢化とともに、都市志向の強いお国柄もあり、農村の過疎化も深刻である。我が国では10月24日と25日に、総務省などが主催した全国過疎問題シンポジウムが山梨県で開催され、私は現地視察で丹波山(たばやま)村と小菅(こすげ)村へ赴いた。丹波
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