「もし田中さんがいま首相なら」 懐刀が見た、エネルギーの真剣勝負

有料記事電ゲン論

聞き手・長橋亮文 福山亜希

インタビュー連載「電ゲン論」

 「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。

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<日本の原発政策>

 経済産業省によると、2021年度の日本のエネルギー自給率は13.3%。米国は103.5%、英国は63.1%と、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでも低い値です。1973年に起きた第1次石油危機の際に首相を務めた田中角栄氏は、エネルギー安全保障と地方の活性化の両方の観点から、原発政策を進めました。著書「日本列島改造論」では、高速道路や新幹線の整備とともに、原発の必要性にも言及しています。首相在任時の74年には、原発の立地自治体が手厚い交付金を受け取れる「電源三法」が制定されました。

石油危機「はるかに大問題」

 資源の乏しい日本がどのようにエネルギーを確保すべきか――。歴代政権が頭を悩ませてきた難題だ。1973年に起きた第1次石油危機の際、当時の田中角栄内閣は石油依存から脱却をはかり、原発政策を加速させた。田中氏の首相秘書官を務めた小長啓一・元通商産業省(現経済産業省)次官に、当時の政策の背景や日本が今後進むべき道についてたずねた。

 ――73年の石油危機の際、田中首相の秘書官を務めました。

 「田中さんが通産相と首相を務めた計3年半、秘書官として仕えました。現在のエネルギー政策も大事ですが、石油危機ははるかに大問題でした。中東から油が一滴もこなくなる、と大混乱が起き、大阪ではトイレットペーパーが店頭からなくなる騒ぎも起きました」

 「田中内閣は緊急立法で、石…

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この記事を書いた人
福山亜希
経済部
専門・関心分野
政治、経済、エネルギー政策