朝食と補食で子どもの集中力アップを 教員を辞めて食育に取り組む

渡辺翔太郎
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 今春、約10年間勤めた小学校の教員を辞め、5月に鳥取県米子市で食育セミナーを行う事業所「moco」を立ち上げた小林友子さん(33)。朝ごはんや補食の大切さを伝える活動をしている。

 教員時代、午前中の授業で机に突っ伏したり、あくびをしたりするなど、授業に集中できない子どもが多いことが気になっていた。体育など体を動かす授業でも、イライラしていたり、ほかの子どもにちょっかいを出したり。

 2020年に長女が生まれて育児休暇をとったとき、子どもの成長に栄養がどんな影響を与えるのか、いろいろ本を読んだ。午前中、子どもたちが授業に集中できなくなるのは、エネルギーが切れているからでは、と思った。

 学校に復帰し、朝ごはんで何を食べたか尋ねると、「菓子パンだけ」「フルーツだけ」といった返事が相次いだ。「うちの子、朝は食べなくて。食べるものをあげるとなると、お菓子になっちゃうのよね」と言う保護者もいた。

 ただ、教員という立場では、家庭の食事について踏み込んで口を出すのは難しかった。もっと家庭に寄り添いたかったが、授業の準備や行事の対応、事務的な書類のチェックなど、教員の仕事は忙しい。

 子どもに栄養について教える場をつくりたい――。教員だった両親は不安がったが、夫は「人生は1度きりだし、やりたいことをすればいい」と背中を押してくれた。2人目の子どもが生まれたのを機に、分子栄養学を学び、教員を辞めた。

 現在は、親や子どもを対象にした栄養セミナーなどを自宅で開いている。米子商工会議所が主催する「米子まちゼミ」でも、朝食や補食で子どもの集中力をあげることを目指す講座を受け持っている。ゆくゆくは、子どもたちが補食を取って集中力を高めながらいっしょに勉強するような場をつくりたいとも考えている。

 「一生使える食の知識を子どもに知ってもらいたい。教員は辞めたけど、やっぱり子どもは大好き。一緒に遊んだり、勉強したり、食べたり。そういう仕事になればいいなと思っている」

     ◇

 1990年、鳥取県米子市生まれ。関西の大学を卒業後、米子市内で小学校教員となり約10年間勤務。事業所の名称の「moco」は自身の名前からとった。朝ごはんの大切さなどを伝えるセミナーを開いている。

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この記事を書いた人
渡辺翔太郎
米子支局長|鳥取県西部担当
専門・関心分野
地域の話題、環境