韓国の尹錫悦大統領、テレビ中継で謝罪 突然の「非常戒厳」めぐり

ソウル=太田成美
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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は7日午前、国民向けの談話をテレビを通じて発表し、3日夜に出した「非常戒厳」について「国民に不安を与えた」と謝罪した。そのうえで「私の任期も含め、今後の政局安定策は党(与党)に一任する」と述べた。

 7日午後に野党が提出した尹氏の弾劾(だんがい)訴追案が採決される予定。尹氏には談話の発表で弾劾訴追を避ける狙いがあるとみられる。ただ、進退には言及しておらず、カギを握る与党議員の行動にどう影響するかが注目される。

 尹氏は4日未明に非常戒厳の解除をテレビを通じて宣言したが、公の場で発言するのはそれ以来となる。尹氏は非常戒厳について「国政の最終責任者である大統領としての切迫感から始まった」とする一方で、「とても驚いた国民のみなさんに心よりおわび申し上げる」と述べた。

 さらに、非常戒厳宣布に関連する「法的、政治的責任問題を回避しない」とし、再び非常戒厳を出すようなことは「決してない」とも述べた。

 そのうえで、今後の政権運営は「我が党と政府がともに責任を持っていく」とした。尹氏は最後に「改めて深くおわび申し上げる」と述べ、頭を下げた。

 談話を受け、与党・国民の力の韓東勲(ハンドンフン)代表は「大統領の正常な職務遂行は不可能な状況で、早期退陣は避けられない」とし、「国民にとって最善の方法を議論し、悩んでいく」と述べた。

 与党としての弾劾訴追への対応は議員総会で協議しており、結論は出ていない。

 一方、最大野党・共に民主党の李在明(イジェミョン)代表は尹氏の談話について「国民の目線にまったく合わない、国民の怒りをさらに強める発言ではないか」と批判。「大統領の即時辞任、あるいは弾劾による早期退陣以外に道はない」と述べた。

 弾劾訴追案の可決には国会の在籍議員300人のうち3分の2の賛成が必要で、賛成するとみられる野党、無所属の計192人に加え、与党から少なくとも8人の造反が必要となる。

 与党は当初、尹氏に近い秋慶鎬(チュギョンホ)・院内代表が「議員の総意を集めて必ず否決する」と述べ、党として反対の方針を決めていたが、韓代表が6日朝に「大統領の速やかな職務停止が必要だ」と発言。その後、与党は断続的に議員総会を開いて対応を協議し、党幹部が尹氏と面会して協議の内容を伝えていた。

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太田成美
ソウル支局
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朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー
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