尹大統領、退陣前でも「外交含めて国政関与せず」 韓国首相らが談話

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ソウル=貝瀬秋彦 太田成美
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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布をめぐる弾劾(だんがい)訴追案は、与党の反対で廃案となり、尹氏は職務停止を免れた。だが、首相と与党が「大統領は国政に関与しない」と宣言するなど、混乱が続いている。

 弾劾案の廃案から一夜明けた8日午前、韓悳洙(ハンドクス)首相と与党・国民の力の韓東勲(ハンドンフン)代表が国民向けに共同の談話を出した。韓代表はまず、尹氏について「残りの任期の間に正常な国政運営をできず、職を退くべきだというのが国民の多数の判断だと思う」とした。

 そのうえで「秩序ある早期退陣により、国と国民に及ぼす混乱を最小化しながら、安定的に政局を収拾し、自由民主主義を立て直す」とし、さらに「退陣前でも大統領は外交を含め国政に関与しない」と強調した。

 国政をだれが担うのかについては、首相が与党と緊密に協議して「国政に空白が生じないようにする」とした。大統領の権限を事実上、抑え込んで首相中心の体制で対応していく考えだ。

 これに対し、野党側は「憲政秩序を破壊する行為だ」と激しく反発している。

 憲法には、大統領が欠けたり、事故によって職務の遂行ができなかったりする時には、首相がその権限を代行するなどと定められている。

 だが、この条項は大統領の死亡や辞任、弾劾による罷免(ひめん)、病気などを想定しているもので、今回のような事態はあてはまらないというのが野党側の主張だ。

 最大野党・共に民主党の李在明(イジェミョン)代表は朝日新聞の取材に、憲法や法律がまったく想定していない行為で、「第2の内乱だ」と批判。同党は9日、非常戒厳の宣布にかかわったなどとして、韓首相を内乱の疑いで告発したことを明らかにした。

 与党側は事態の収拾に苦慮し…

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この記事を書いた人
貝瀬秋彦
ソウル支局長
専門・関心分野
朝鮮半島、東南アジア、核問題、人権問題
太田成美
ソウル支局
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー
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