架空身分証で闇バイト捜査、来年早々に開始 「一番は捜査員の安全」

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編集委員・吉田伸八 福冨旅史
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 闇バイトによる強盗事件などの深刻化をうけ、警察庁は、捜査員が架空の身分証を使い身分を偽って闇バイトに応募し、犯罪グループに接触する新たな捜査手法について、来年の早い時期にも運用を始める方針を決めた。捜査員が身分を積極的に偽る「仮装身分捜査」と呼ばれる手法で、グループの摘発や犯行抑止につなげたい考えだ。

 警察庁の露木康浩長官は12日の定例記者会見で、捜査員が身分を隠して闇バイトに応募する「雇われたふり作戦」を既に行い、容疑者摘発につながった例もあると説明。一連の事件では指示役らが応募者に身分証の画像を送信させる手口が多く「仮装身分捜査が必要となってきた」として、「効果的な活用のあり方の検討を進めていく」と述べた。

 一連の強盗事件では、実行役として逮捕された容疑者の多くがX(旧ツイッター)などSNSの投稿を通じて闇バイトに応募。指示役らは、秘匿性の高い通信アプリに誘導して運転免許証などの身分証の画像を送らせた上で、「自宅に行くぞ」などと脅し、犯行に加わらせる。

 仮装身分捜査では、運転免許証やマイナンバーカードといった架空の身分証を用意し、捜査員が闇バイトに応募。指示役らからの指示に応じて身分証の画像を送る。やりとりを経て、強盗などを行うために実行役らが集まったところで、待ち受けた捜査陣が押さえるといった流れを想定する。

 身分証の偽造は本来違法だが、刑法は正当な業務による行為は罰しないと定めていることから、警察庁は正当業務の範囲内であれば現行法のもとで実施が可能と判断した。今後、具体的な運用方法などを示す実施要領を策定し、現場への周知を図った上で、来春までに実施する考えだ。

現場は冷静な反応 「偽造身分証だけではクリアできない」

 相次ぐ闇バイトによる強盗事件を受け、警察庁が、架空の身分証を使った捜査の導入を検討している。捜査員が架空の人物を装って闇バイトに応募し、強盗グループの摘発につなげたい考えだ。現場で捜査する側はどのように受け止めているのか。

 「身分証だけ用意すれば何でもできる、という単純な話ではない」

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