「民間より視野狭い」 パワハラ疑惑の村長辞意、公選法違反の指摘も

佐藤仁彦
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 職員へのパワハラ疑惑などが持ち上がっていた長野県宮田村の小田切康彦村長(79)が12日、村議会で辞職する意向を明らかにした。「世間をお騒がせしたことを、心からおわび申し上げる」と陳謝した。

 小田切氏はこの日、12月議会の閉会後に記者会見し「部下の信頼がなければ、組織を率いていけないというのが私の信条。それに反することが明らかになった時点で辞めるつもりだった」と発言。「部下からの信頼を失った以上、組織を動かすのはもう難しい」として、責任をとる考えを示した。

 パワハラなどを訴えた職員に対しては「能力的に伸びてほしい、成長してほしい、良い仕事をしてほしいという思いが強くあり、表現が強くなってしまった。心からおわび申し上げたい」と述べ、頭を下げた。

 小田切氏には昨年、複数の職員に対して書類を投げつけるなどパワハラと受け取られかねない言動をとった疑惑がある。今月初めには、取材に対し、部下に「民間企業に比べると、公務員は視野が狭くてダメだ」などと強い口調で伝えたことなどパワハラ疑惑の一部を認めていた。

 こうした事態を受け、村では全職員を対象に上司などからパワハラなどを受けた経験を問うアンケートを実施することが決まっていた。

 小田切氏を巡っては、2022年の参院選公示直前、村の課長らが集まった会議で、自民の立候補予定者の政策を紹介するリーフレットを配ったことも発覚。公職選挙法違反(公務員の地位利用)に当たる疑いがあるとして、村の顧問弁護士が11月、県警駒ケ根署に事実関係を申告していた。

 村によると、小田切氏は12日、議長に退職願を提出した。退職は来年1月1日付。村長選は今後50日以内に実施される。村選挙管理委員会は13日に会合を開き、日程を話し合う。

 小田切氏は、伊那市電子部品メーカーの常務や副村長を経験。2013年の村長選で初当選し、現在3期目。

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