遠方の分娩 名張市が支援策 交通費など 2~4月助成
市内で出産ができる医療機関が年明けにゼロになる事態を受け、三重県名張市は13日、遠方で分娩(ぶんべん)する際の移動費助成など妊婦への支援策を公表した。来年2~4月に実施する。
北川裕之市長が市議会全員協議会で明らかにした。
少子化による分娩数の減少などのため、同市内で唯一出産に対応してきた医療機関が、来年1月15日で分娩業務を取りやめる。市は11月、市民に必要な支援策などを尋ねるアンケートをインターネットで実施(589人が回答)。その結果を踏まえ、四つの支援策を打ち出した。
来年2月から実施するのが、伊賀地域での分娩が困難でかかりつけ医が遠方の場合、分娩のための往復交通費や宿泊費を一部助成する。助成額は、交通費は8割、宿泊費は1泊あたりの実費から2千円を差し引いた額で、総額50万円を予算化する。また出産予定日などを「事前登録」すれば、公共交通機関の利用や親族などによる搬送が困難な時に救急車を要請できるようにする。産婦人科・小児科・助産師への24時間365日のオンライン相談事業も始める。4月からは産後ケア態勢を赤目保育所に設ける。
分娩を扱う診療所・病院数の減少は全国的な傾向で、2院が扱っている伊賀市でも1院が来年3月で取りやめる方針。