32年前、先輩は撃たれた 「銃のない社会へ」後輩たちが重ねる議論
留学先の米国で1992年、銃で撃たれて亡くなった服部剛丈(よしひろ)さん(当時16)が通っていた愛知県立旭丘高校=名古屋市東区=で19日、米国やタイなどからの留学生8人と生徒約20人が交流し、銃規制について話し合った。 また、同校美術科が協力し、服部さんの母美恵子さん(76)が手がけた絵本の第2版の完成も報告された。
交流会は、2007年から生徒会が主催し、毎年、服部さんの両親も出席している。米国や豪州などの現状を踏まえ、米国での銃規制を進めるための法整備について議論。「民間人が持ち運ぶことを禁止する」「(所有を認めるのは)殺傷能力の低い小型銃に限るべきだ」などの意見が出た。
服部さんの死亡保険金で設立された「YOSHI基金」を利用し、今春から県立松蔭高校に留学している米ワシントン州出身のマグナソン・レクシーさん(17)は「米国では銃乱射事件が後を絶たない。銃を規制する厳しい法律が必要」と訴えた。
生徒会副会長の高橋優梨子さん(1年)は「自分たちの身近な問題として考えることができた。他国のことを学びいい経験になった」と話す。
生徒有志が挿絵を一新
美恵子さんが19年に出版した絵本「アリッサとヨシ」(B5判、28ページ)は、18年2月に米国フロリダ州の高校で17人が亡くなった銃乱射事件の犠牲者アリッサ・アルハデフさん(当時14)が、剛丈さんと天国で出会う物語だ。
初版の1千冊が手元になくなったため、旭丘高校美術科有志の生徒4人の協力を得て、挿絵を一新し、第2版として500冊を作製した。同校に80冊を寄付し、小中高校や図書館などから希望があれば200冊を無料で配布(送料は各自負担)する。
美恵子さんは「銃のない社会をめざして議論を続けてほしい。頼もしい後輩の姿を息子も頼もしく思っていることでしょう」と話した。
本の申し込みは、美恵子さんのメールアドレス(syatmom@amail.plala.or.jp)へ。