いじめに悩む人たちが交流する場提供 会を立ち上げたのは高校2年生

富永鈴香
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 いじめに悩む人たちが交流する「茨城のいじめ問題を考える会」が活動を始めた。発起人は、自身もいじめを受け不登校を経験した高校2年生だ。

 茨城県内の角川ドワンゴ学園のS高校に所属する悉知(しっち)信(あきら)さん(17)は、小学6年生のときに同級生から暴力を受け、腕の骨を折った。こうしたいじめが原因で、中学校では不登校にもなった。

 文部科学省の調査によると、県内の小、中、高、特別支援学校での2023年度のいじめの認知件数は、前年度より2025件(8.2%)多い2万6675件あった。全国的にも増加傾向にある。

 悉知さんは、いじめ問題を改善できないかと考え、高校生になって専門家や政治家に話を聞くようになった。「被害者同士が交流する場があまりない」と感じ、今年10月に同会を立ち上げた。いじめに悩む人が車座になって、経験談を話したり情報交換したりして、お互いに支え合う場にしたいと考えている。

 初回の11月22日。水戸市赤塚の会議室には、いじめ問題に悩む生徒やその保護者ら計6人が集い、胸の内を語った。

 ある女子生徒は、中高一貫校で3年間にわたってクラスメートや部活仲間からのいじめに悩み、県外への転校を余儀なくされた。「目に見える傷や外から見える痛みは受けていない。けれど、言葉の攻撃でじわじわとやられてきた」と告白した。

 同席した母親によると、学校や教育委員会に電話がつながる日中に、仕事の昼休みや、時間休を取って時間をつくり問い合わせていたという。「車にはねられたとき、被害者が電話するでしょうか? こちらは『瀕死(ひんし)の状態』。こんなにも動かないといけないなんて。でも親が出ると、モンスターペアレントだとか、過保護だとか言われ、どうすればいいの」と話した。加えて、転校や弁護士費用、カウンセリング代も負担することになった苦しさも吐露した。

 県立高校に通っていた男子生徒は、同性から性的ないじめを受けたという。学校に相談したものの「適切に対応してもらえなかった」。被害後も、加害生徒と同じクラスで過ごさなければならなかった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、転校した。

 「夢があって入った学校だったのに、人生設計が変わってしまった」

 悉知さんは将来的に、同会の活動を通じて集まった意見や課題をまとめ、行政に伝える考えだ。「いじめに悩む子どもたちに、教員や学校、教育委員会が十分に応えてくれる体制を作りたい。いじめゼロを目指したい」と語る。

 同会は、毎月第4金曜日(午前10時~正午)に開催する。次回は12月27日。水戸市赤塚1丁目の市福祉ボランティア会館で。参加無料。問い合わせはメール(akira.akkun.73@gmail.comメールする)へ。

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