年末年始につい食べ過ぎてしまうスイーツといえば、チョコレートだろう。クリスマスケーキはもちろん、冬に食べるチョコアイスは格別で、甘いホットチョコレートも魅力的だ。
その原料となるカカオ豆の約8割が、西アフリカのガーナの森から日本に届いている。
【連載】一皿から見える世界(4)
「きのこの山」も「コアラのマーチ」も値上げラッシュ。なぜチョコレートの値上げが続いているのか。その背景を探るため、ガーナを訪ねました。
分けいつても分けいつてもカカオ山――。俳人の種田山頭火がガーナを訪れていたら、こう詠んでいたかもしれない。2024年12月上旬、ガーナ東部州のカカオ農園には、そう思わせるような光景が広がっていた。
「この山はカカオの木で覆われている」と話すのは、地元のカカオ生産組合のテイノル・フランシス会長(38)。じりじりと照りつける日差しを青々とした葉が遮り、幹にはてっぺんから根本まで、こぶし大の実がいくつもぶらさがっていた。熟れ具合によって緑や黄色、赤に近いものもある。
カカオの山は、どこまでも続いているように見えた。「でも、多くの山はまるで変わってしまった」。フランシスさんは、そう明かした。
異変はすぐに判明した。近く…
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