「推し活」日銀もほっとけない Z世代が月20万円使う「生きがい」

有料記事

神山純一
[PR]

 大好きなアイドルやキャラクターを応援する「推し活」が、消費回復の原動力として注目されている。それを担うのは10代後半から20代のZ世代。経済動向を分析する日本銀行の報告書には、若者の消費の強さを示す一例として昨秋、初めて紹介され、今月9日公表分にも盛り込まれた。旺盛な需要を取り込もうと、「専門店」も登場している。

「応援は生きがい。だから仕事も頑張れる」

 昨年11月9日の夕方、東京・JR池袋駅から歩いて5分のところにある「推し活居酒屋 ○○の会」の13部屋は満室だった。のれんがかかる個室からは次々と歓声が聞こえてきた。

 「かわいい」「やばい」

 茨城県の会社員女性(28)は、推しの男性アイドルグループ「ダリア」のライブ前に、ファンの友人と2人で訪れた。テーブルにグッズを並べ、ライブやミュージックビデオを楽しむ。2時間食べ飲み放題で税込み4980円。部屋の前にあるタブレットには、会の名称を記入できる。2人は推しのメンバーの名前にちなんで「かけゆがの会」とした。

 女性は1年前にライブを見てファンになり、今は月10回見に行くこともある。ライブに行くと、推しが写った1枚1500円ほどの写真を複数購入。終了後、メンバーとの交流の時間でおしゃべりするのも楽しみだ。

 チケット代を含め、多いと1回4万~5万円使い、月に20万円に達することもある。収入の大半を「推し」に使う生活だ。「応援は生きがい。だから、仕事も頑張れる」

 この居酒屋は昨年2月、推し活専用として開店した。医薬業界で使われる冊子などの印刷を扱う「ベスト・プリンティング」(東京都港区)の新規事業だ。来店客の95%が女性で、20代後半から30代が多い。この日の来店客は、K―POPやアニメのファンが中心だった。上田瞬店長(34)は「スーツケースいっぱいにグッズを入れて来るお客さんもいて、推し活熱のすごさを感じる」と話す。

「当事者意識」のある消費、キャラ立ちする手段

 調査会社ネオマーケティング…

この記事は有料記事です。残り1963文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年1月12日17時22分 投稿
    【視点】

    応援対象を「推し」と呼んでみたり、深くハマることを「沼に落ちる」と言ってみたり。 多様性が強調されたり個性が重んじられたりする一方で、同調圧力を感じることが少なくない。そんな時代を生きているなかで、他人の意見に惑わされずに夢中になれること

    …続きを読む