韓国の非常戒厳「軍の国会押し入りは禁じ手」 憲法違反?識者が解説
聞き手・鈴木峻
浅羽祐樹・同志社大教授(韓国政治)
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が45年ぶりに「非常戒厳」を出しました。韓国憲法は大統領に非常戒厳を出す権限を与えていますが、野党側は「明白な憲法違反」だとして、尹氏の弾劾(だんがい)訴追案を国会に提出しました。韓国憲法に照らして、尹氏の行動のどこに問題があったのか。韓国憲法に詳しい同志社大の浅羽祐樹教授(韓国政治)は「国会を制圧しようとしたことは禁じ手中の禁じ手」と指摘します。
――今回の非常戒厳を、憲法の観点からどう見ますか。
私も憲法違反の可能性が高いと考えています。
非常戒厳「国会がノーと言わない限り」
1987年に改正された現行の韓国憲法は、戒厳令や人権抑圧を繰り返した軍事政権時代の教訓から、大統領の国会解散権などを廃止して権限を縮小しました。一方、国会が国政監査できるようにするなど、大統領への牽制(けんせい)としての国会の権限を強めています。
戒厳軍が国会に押し入ろうとしたことは、「明らかに憲法違反だ」と、浅羽教授は指摘します。記事後半で解説します。
朝鮮戦争が休戦状態であるた…