へザウィック・スタジオ展に行ってきました。
場所は、六本木ヒルズ森タワーの52階
東京シティービュー。
展覧会だけでなく、東京のパノラマも楽しめる場所です。
さて、入り口の看板代わりの垂れ幕
海の中から伸びた白い柱の上に
木が沢山生えているって、どういうこと?
事前にポスターを見た時から気になっていました。
斬新な建築デザイン事務所なのね・・・
と思っていたら、
壁際にいきなり実物大の2階建てロンドンバスの後部が。
新しいロンドンバスもデザインしていたんですね!
7年前にロンドンを訪れた時、
この新しいデザインのロンドンバスに感動した記憶があるのですが、
へザウィック・スタジオのデザインだったのですね。
こんな未来の車も。
ステアリングや運転席が見当たらなくて、
中は応接室みたい。
建築に限らず、幅広い分野のデザインを手掛けている
デザイン集団のようです。
へザウィック氏が学生時代にデザインした東屋の模型や
グリーティングカード、デザイン画などもありましたが、
特に目をひいたのは、大規模な建物や
歴史的建築物のリノベーション
街づくりともいえる大規模プロジェクトの数々。
こちらは、上海万博英国館
建築物とは思えない斬新さ。
こちらは、シンガポール南洋理工大学のラーニング・ハブ
大学の建物とは思えない奇抜さですね。
浅はかな私は、
まあ~なんてお洒落!
リゾートホテルかしら?!
と、思ってしまいましたが、
実は見てくれの良さを追求したわけではなく、
学生をはじめとした人々が集い、共に学び、
アイディアを出し合ったり、
将来のビジネスパートナーと出会う場となるなど
(現代の味気ない大学の建物とは異なる)
心ときめく場を目指したのだとか。
しかも、熱帯向けの消費エネルギーを最小限に抑えた
新たな建物を発明することも目指したのだという。
大学の存在意義にまで踏み込んで考えられた建物だったのですね。
花びらをつなげたような形をしています
次は、グーグル・ベイ・ビューという
カリフォルニアにあるグーグルの新社屋。
これは、その一部の模型
テント張りのような建物の中に
大空間が広がっていますね。
24時間365日、カーボンフリーエネルギーでの稼働を目指しているそう。
お遊びで作った模型かしら・・・と思ったら
アメリカに本当に存在するという建築物 (;'∀')
「ヴェッセル」と名付けられた
地上16階建てのこの建築物は、
ニューヨークの再開発地区のランドマーク。
合計約2,500段、154個の階段、80カ所の踊り場で出来ていて
2019年に完成したそうです。
無料の大型公共アトラクションとしての役割を果たし、
ハドソン川とマンハッタンの眺望を楽しめるらしい。
こちらは、東京の麻布台ヒルズの低層部。
「東京を暮らすための心躍る場所にしたかった」そうで、
高低差のある地形に馴染んだ
曲線的で独創的な建物は、
確かに心躍るデザインですね。
屋上緑化が施されていて、
お散歩しに行きたくなります。
麻布台ヒルズは、
今年の秋にオープン予定とのこと。
オープンしたら是非実物を見に行きたいです。
この円柱のかたまりの一部をくり抜いたような建物は、
ツァイツ・アフリカ現代美術館。
ケープタウンにある築100年の
穀物用サイロだった歴史的建物を改装したものです。
中央にいびつな形をした空間がくり抜かれていますが、
空間は、穀物(トウモロコシ)の一粒の形をしています。
この建物の記憶がそこに秘められているんですね。
それだけでなく、どうすれば人々を惹きつけられるか
建物を中心とした周辺の再活性化を図るねらいが込められているそう。
遊び心のある椅子もありました。
コマのような形をしています。
実際に、この椅子に座りながら
へザウィック氏の講演ビデオを見ることもできました。
案外、座り心地が良くて、
ゆらゆらしながら座っているのは面白かったのですが
調子に乗ってゆらゆらしていたら
船酔いみたいになってしまいました (;'∀')
ビデオでは、2022年4月におこなわれた
へザウィック氏の15分程度の講演が流されていたのですが、
あまりに感銘を受けまして、立ったまま3回も見てしまいました。
新しい建物は無表情で退屈なものだと誰もが思っている。
でも機能的だという言い分がある
「形態は機能に従う」というように
機能に従えば必然的に見栄えが良いものになるという考え方がある。
しかし、現代の建物は、大切な機能つまり「感情」
にかかわる機能が軽視されていると指摘しています。
なるほど!納得!!
私自身、古い建物にはすごく魅力を感じるのに
新しい建物にはめったに心を動かされません。
今どきの駅は、たいてい味気ない気がしますが、
東京駅のレンガの建物は好きだなあと。
へザウィック氏はさらに語ります
新しい建物は個性がなく退屈だと誰もがわかっている
それだけでなく、健康面や社会の健全さに害を及ぼす場合がある。
また、建物の取り壊しと新築を繰り返すことは
時間や財政の負担を増すだけでなく
二酸化炭素排出の大きな部分を占めると。
人々に愛されない建物は寿命がくるとすぐに取り壊されるが
古い魅力のある建物は修理し、改築して使い続けられる。
寿命40年の建物ではなく
千年もつ建物をたてようではありませんかと。
(o‘∀‘o)*:◦♪パチパチパチ
なるほど、長く人々に愛される建物
しかも社会問題の一つの解決案を提示する建物を目指していたんですね。
へザウィック氏は、講演の冒頭で、そういった建物の先進例として、
日本人建築家の藤本壮介氏がデザインした表情豊かな集合住宅や、
フランシス・ケレ氏がデザインした魂のこもった医療センター
などの例を紹介していました。
ビデオでは、ご自身の作品の解説もありました。
先ほど模型の展示品があった
シンガポール南洋理工大学のラーニング・ハブ
中は、こんな感じになっているんですね。
講義が無くても大学に行きたくなりそう。
続いて、がんセンターの療養施設。
病院の敷地に唯一残っていた緑地に療養施設を建てるという課題に対し
緑あふれる建築物を作り上げ
生物多様性が436%も高まったのだとか。
こんな居心地の良さそうな場所で療養したら
回復も早まりそうですね。
斬新なデザインに惹かれ
最初は単なる興味本位で見に来たのですが、
実は現代社会がかかえる様々な課題を
建築や都市計画の観点から答えを導こうとした
深い思想が根底にあることを知り、
このデザイン集団を率いる
トーマス・へザウィックという人物の
凄さに感心しました。
さらに、森美術館の素晴らしいところは、
展示のほとんどが撮影可能ということ。
普通の美術館だと、著作権の問題とかで
撮影できないことが多いのですが
ここは、どんどん撮影してください!
どんどんSNSに載せてください!
というスタンスです。
まんまとその策略にのせられて、
写真を沢山撮ってきました。
そしてブログに載せさせていただきました。
だって、感動したんですもの。
他にも素晴らしい作品がいくつもあったのですが
ブログでは紹介しきれませんでした。
まだ開催中なので、ご興味のある方は、
実際にご覧になってみてくださいね。
【へザウィック・スタジオ展:共感する建築】
会期 2023年3月17日(金)~6月4日(日)
会場 六本木ヒルズ森タワー52階 東京シティビュー
詳しくは森美術館のこちらのサイトをご参照ください↓