「パートを差別」提訴へ コロナが非正規直撃80万人減

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遠藤隆史
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 新型コロナウイルスの影響が、非正規雇用の労働者たちを直撃している。総務省によれば、コロナ感染が深刻化する前の今年2月から9月までに非正規労働者が約80万人減少。正社員の代わりに仕事を減らされたり解雇されたりしたためだと専門家はみる。仕事のシフト削減は不当だとして会社を訴えるケースも出てきた。

 通勤のため駅へ向かう人波を自宅のベランダから眺めると、嫉妬にも似た感情がわき上がる。「私には働ける場所がないのに」。京都府に住む派遣社員の女性(55)は約1カ月、仕事のない日が続く。

 府内の百貨店などの催事で接客・販売を担う派遣社員として15年近く働いた。日給およそ1万円、毎月の収入は27万円ほどだったが、今春新型コロナが深刻化すると状況が一変。百貨店での特産品の出張販売やスーパーの試食販売など、派遣先の仕事が消えた。4月の勤務は1日だけ。6月ごろから催事が少しずつ再開されても、主催側も仕事が減り社員が余るため、派遣社員に仕事が回るのは月に数日程度だった。

 仕事が急減した春、軽度の認知症がある90代の母親を施設から引き取ったばかりだった。自分の老後のために20年以上積み立てた年金を100万円分取り崩し、生活費に充てた。今月下旬は仕事が入ったが、その先の予定はほとんど白紙だ。「何でこんな試練があるんだろう」

 非正規の処遇が不当だとして裁判に発展するケースもある。

 労働問題に詳しい冨田真平弁護士は、強制的にシフトを削減されたと訴えるパート女性の代理人になり、従来通りの賃金の支払いなどを会社側に求める訴訟の準備を進める。近く大阪地裁に提訴する考えだ。コロナ禍での非正規に対する不当なシフト削減を問う訴訟は異例だという。

 原告は結婚式の前撮りを手がける大阪府の写真スタジオで働く30代女性。週3日の契約で採用され、正社員と同様、顧客との打ち合わせなどを担当した。

 訴状によると、緊急事態宣言

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この記事を書いた人
遠藤隆史
東京社会部|最高裁担当
専門・関心分野
司法、労働、福祉