「いつまで払えるか」問い続く不妊治療 保険適用は負担減の決め手か
仕事との両立と並んで、治療費の自己負担が高額となることが問題の不妊治療。会計時に金額の「桁が増えた」という経験をする人も少なくありません。「いつまで治療費を払えるのか」と不安を抱えながら続けるカップルも多く、来年4月にも始まるとされる公的医療保険の適用に期待が集まります。ただ、どれほど負担が軽くなるのか、見通せない部分が残ったままです。
検査で直面 予想外の出来事
東京都内に住む上野美希子さん(30)とパートナーの清水裕介さん(31)は2年ほど前、不妊治療のクリニックを初めて受診した。
美希子さんは以前から、生理が半年近く来ないなど、生理不順を自覚していた。インターネットで調べ、卵巣から卵子が放出されていない可能性があることに気づいた。出産のことを本格的に考え始めるとすぐ、不妊治療のクリニックを受診しようと決めた。
通いやすい距離のクリニックを選んで2人で検査を受けた。美希子さんの体は、薬を使って排卵させる必要があるとわかった。予想外のことも判明した。裕介さんの精子の数や運動率が基準未満だった。裕介さんは受診前、美希子さんに勧められた不妊治療の記事を読んで、男性側にも原因があると知っていたため、「冷静に受け止めた」という。
再検査では基準を上回り、まずは医師の指導を受けながら、排卵日近くに夫婦生活をもつ「タイミング法」から始めた。その後、治療の段階を上げ、精子を子宮内に注入する人工授精を7回繰り返したが、妊娠しなかった。
ボーナスを貯金に回せない
費用は徐々に積み重なった…