筋ジス病棟の患者、スタッフに「虐待された」が3割 当事者らの調査

権敬淑
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 病院スタッフから「虐待された」と感じている人は3割――。難病当事者らが実施した、全身の筋肉が萎縮する筋ジストロフィーなどの神経難病で長期入院を余儀なくされた患者への調査で、そんな結果がまとまった。

 障害者の「脱施設」を目指す京都や兵庫の難病当事者と、研究者、支援者らでつくる団体「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」が2019~20年、国立病院機構の26病院にある「筋ジス病棟」に入院する神経難病の患者を対象に調査した。対面やオンラインで、20~78歳(平均42歳)の58人(男性48人、女性10人)から回答を得た。

 1977年から入院している人など、人生の半分以上を病棟で過ごしてきた人が22人(38%)。疾患別では筋ジストロフィーが69%で、ほかに脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの患者が含まれる。

 病院スタッフから虐待を受けたことが「ある」と答えたのは19人で、「ない」は37人だった。家族・親戚からの虐待も、11人が「ある」とした。自由記述では「トイレに行けるのに看護師の負担になるからとおむつにされた」「介助が荒くけがをした」「入浴・トイレ介助を異性がするのが苦痛」などの声があった。

 手先や体が思うように動かせない人が多い中、病院内にインターネット環境が整備されながら、必要な介助が受けられないため、ネット利用が制限されている人も4割いた。

 調査に携わった日本自立生活センター京都市)の大藪光俊さんは「一部の病院では患者が抑圧的な状況に置かれ、中には虐待とも受け取れる状況があった。夜間は1人が四十数人の患者に対応するような、人手不足が背景にあるのでは」と指摘。コロナ禍で面会が制限され、入院環境はさらに閉鎖的になっているとし、国に改善を求めている。

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