そのコンビニエンスストアでは、様々な国や地域の言語が飛び交っていた。
品川駅からバスで約10分の「ローソン品川埠頭(ふとう)店」(東京都港区)は、客のおよそ7割を外国人が占める。
正面に、在留期間の更新や難民認定申請などのために多くの外国人が連日訪れる東京出入国在留管理局(東京入管)があるためだ。
その特殊な立地ゆえに、同店では一般的なコンビニとは違った工夫が凝らされている。
その一つが、店内の一角にある輸入品のインスタント食品やスナック菓子などがずらりと並ぶ棚だ。
来日して8年ほどのバングラデシュ出身の30代男性は、一般的なコンビニでは水やシャケのおにぎりくらいしか買わないが、この棚の商品を見て驚いた。
「日本のコンビニで初めて『ハラール』を見た」
それは、イスラム教の戒律に従った「ハラール食品」のコーナーだった。
男性は棚からパキスタン製のスナック菓子を2袋購入し、「入管の待ち時間に食べます」と喜んだ。
オーナーが「ハラール食品」の販売を始めた背景には、過去のある経験がありました。記事後半では、仕入れ先のパキスタン人社長の思いや、他の大手コンビニの状況なども紹介しています。
「豚やアルコールは入っていませんか」
都内で複数のコンビニを経営する岡本光弘さん(45)は昨年6月、同店のオーナーに着任した。
当初から、外国人客が多いこ…
- 【視点】
日本国内には2021年6月末の時点で約282万人の在留外国人が暮らしています。メディアを通してみると「労働者」「人材」としての側面や「困っているマイノリティー」としての側面が目立って見えますが、日本社会の中で暮らしを営む生活者であり、日々の
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