キノコの「ご機嫌」が知りたくて 電極通じて対話に挑む研究者
キノコとの「対話」に挑んでいる研究者がいる。金沢工業大学工学部の柳橋秀幸講師(計測制御工学)だ。効率のいい栽培条件の選定などに活用できそうだ。
キノコは温度や湿度、光、二酸化炭素濃度といった栽培条件に敏感に反応する。柳橋さんは石川県内を中心とした地元の企業と連携し、マイタケやナメコなどの食用キノコがよく育つ条件を模索してきた。よい環境なのか、キノコの「ご機嫌」を知る手がかりとなるのが、情報伝達などの生命活動にともなって体内で生じるごく小さな電気信号「生体電位」だ。
これまでの研究で、青色光を当てるなど、成長が早まる条件で栽培すると、大きな生体電位が発生していることが判明。生体電位を測れば、キノコにとって快適な環境かどうか短時間で効率的に調べられる。今まで農家が経験を頼りに手探りで模索してきた栽培条件に科学的な裏付けをつけられるというわけだ。
ただ、例外もある。紫外線は細胞にダメージを与え、成長を遅らせるが、紫外線を浴びたキノコの生体電位は大きくなる。柳橋さんは、キノコが移動など次の行動の準備をしているためとみている。
キノコの「本音」は、まだわからないことが多い。電極を刺す位置や間隔によっても得られる情報は変わる。「この電位を測って何になる? ということから考えないといけない」と柳橋さん。
それでも、研究はじわじわと…
- 【視点】
私の研究チームではぬか床内の微生物たちと「対話」する可能性を研究しているため、柳橋先生のご研究に非常に興味があります。 英国のキノコ言語の研究論文はつい最近読み、その面白さを仲間内でも話題にしていたところですが、そこでは脱人間中心主義
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