第3回師匠の娘にプロポーズした小林光一 周囲は猛反対、状況を変えたメモ
《タイトル戦で活躍する兄弟子の背中を追いつつ、小林青年は13歳年上の師匠の三女、木谷禮子(れいこ)六段に恋をした》
囲碁棋士の小林光一さんが半生を振り返る連載「碁打ちの本懐」。全4回の3回目です。
禮子は木谷家7人の子どもの中で、ひとり棋士の道を選んだ。しっかり者で、なんといっても師匠の娘だから、優等生とはいえない弟子たちから怖がられる存在でした。まさか僕が結婚するなんて、想像もできませんでしたよ。
意識したのは18歳のころ。指導碁の帰りで深夜に道場に戻ったら、禮子がひとり応接間にいた。どういう話の流れか、棋士はどうあるべきかという話になり、禮子は時間を忘れて熱っぽく語った。誇りをもって棋士の道を歩んでいくみたいな。その日以来、禮子は弟子の勉強部屋に来るようになり、僕とよく碁を打った。好意を持ってくれていると感じました。
《1年後にプロポーズ。しかし、それからがたいへんだった》
禮子が母の美春おかあさまに…