第3回倉庫街の段ボールをオートバイに 篠原有司男が感じたNYのリアル
聞き手 編集委員・大西若人
ある日電話があって、ホテルオークラにポーター・マックレーという人がいるから会いに行けって言われて。彼はロックフェラー3世基金のボスで、瀧口修造さんが僕を推薦してくれたみたい。よく分からないまま、「ハイこんにちは」という感じで。通訳は詩人の大岡信さんが来てくれました。
美術家・篠原有司男さんが半生を振り返る連載「殴り込み 前衛アート道」。全4回の3回目です。(2022年7月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)
奨学金でニューヨークに来ないかって言われて、もうやるぞって感じです。急に英語の勉強もしたけど全然ダメ。アメリカ大使館にビザを取りにいったら、面接官の女性が「あなたは何者だ」と聞くので、「グレイテスト・アーティスト・イン・ジャパン」と言ってやったら、手を見せろって。マメとかできているから、建設労働者か何かが背広着てきたと思われたんだね。パスポートにキャンセルのはんこを押されちゃったんだよ。まあロックフェラーの奨学生だから、直してもらったけど。
《1969年5月に渡米》
ニューヨークのソーホー地区…