世界に多くのファンを持ち、最大の音楽市場・米国でも次々に賞を受ける韓国の7人組アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」。その所属事務所「BIGHIT MUSIC」の愼英宰(シンヨンジェ)代表(39)が、朝日新聞の単独インタビューに応じました。日本メディアでは初めてで、BTSがどんな考え方の下で成長を遂げてきたかを語りました。
【連載】BTS第2章 語られた素顔
BTSの所属事務所代表へのインタビューと解説を全5回にわたって連載します。
我々が少し休んでも、これからの多くの時間のためです――。6月にメンバー自らが、しばらくはグループ活動から個人活動に軸足を移すことを語った動画「バンタン会食」。世界的なニュースとなったその動画の発信になぜ至ったのか。そこにはBTSの「第2章」に向けた思いがありました。
音楽に込められた率直なメッセージ
――韓国発の「Kポップ」のグループの多くが、世界最大の音楽市場・米国でトップアーティストとなることに苦戦する中、BTSは2017年の「ビルボード・ミュージック・アワード」以降、多くの賞を受けてきました。なぜ成功できたのでしょうか。
様々な理由があると思いますが、結局はコンテンツの力ではないでしょうか。BTSの音楽には、その時代、その瞬間に、メンバーたちが発信したいメッセージが率直に込められています。それに多くの人々が共感してくれました。
メンバーがSNSを積極的に活用していることも大きい。ユーチューブやツイッターなどを通じて、全世界のファンがBTSの音楽というコンテンツを共に消費し、共感が広がるという良い形ができていると思います。
2020年に世界で新型コロナウイルスの影響が始まり、状況が急変しました。計画していたワールドツアーなどを進められなくなり、メンバーはファンとどう接していくか、とても悩みました。難しかった部分も多かったのが事実です。
まさに危機でしたが、新たな機会に変えようと考えました。僕たちができることをしようと思って、元々は予定になかった「Dynamite」を準備しました。大変な思いをしている人たちに元気を与える、ポジティブなメッセージを込めました。
新曲のプロモーション活動は思うようにできない環境でしたが、SNSを通じて広がり、米国市場で良い反応があり、それが相乗効果となって世界的なヒットにつながったと思っています。
愼代表は、メンバーの日頃の様子や、ともに深く悩んで「戦友」のようになった過程、そしてあの「バンタン会食」についても語っています。
スーパースターへの偏見、覆された
――愼代表は3年前にゲーム会社から「Big Hit Entertainment」(現・HYBE)に移り、BTSを担当してきました。仕事を通じて接してきたメンバーに、どのような印象を持っていますか。
初めてメンバーに会った時に…