大言壮語、とは程遠い。常に力は抜けている。
「絶対勝ちたいと思っているので、また次に向けていい準備をしたいと思います」
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本代表が逆転勝ちで16強入りを決めた2日のスペイン戦。試合後のインタビューで、日本史上初の8強入りがかかるクロアチア戦に向けた意気込みを聞かれても、伊東純也は自然体だった。
何より、いつだって、どこか楽しそうだ。
「そっちだったかぁ」
ドリブルで抜こうとした仲間にボールを奪われても、伊東純也は笑っていた。
2022年6月、千葉市であった日本代表合宿。練習を終え、クールダウンする選手が多い中、1対1を繰り返していた。
「いつも、やってることなんで。普通にやっていただけですね」
29歳になったいまも、彼にとって、サッカーは遊びの延長なのかもしれない。
神奈川県横須賀市で育った。小学1年生で地元の鴨居SCに入ったのも「友達がみんな始めたから」。団地で仲のよかった年上の友達もそのチームにいた。
伊東は小柄だが、すばしっこかった。ボールを持ってドリブルで相手を抜き去ると、すごく楽しい。サッカーのとりこになった。
「プロになりたいと思ってはいたけど、そこまで考えていなかった」
友達との一番の遊びがサッカーだっただけ。小学校時代は、放課後に学校や公園のグラウンドで日が暮れるまで友達と一緒にボールを追う日々だった。
J1横浜F・マリノスの中学年代のチームに誘われ、テストを受けた。結果は不合格だったが、さして気にも留めなかった。
地元のクラブチーム・横須賀シーガルズに入った。高校は、実家から近く、県大会で上位の実績もあった県立逗葉高に進んだ。
「中学、高校も一応、全国大会をめざしてやったけど、ダメだった」
それでも、他を圧倒する足の速さは、大学サッカー関係者の目にとまった。
強豪校からスカウトが来た…
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